インターネット社会がカードローンの即日振込みも可能にした

図書館の文庫本コーナーで、星新一著『できそこない博物館』を見つけ、久しぶりに借りてみた。

中学生に友人に貸してもらったのをきっかけに、学生時代にかけてよく読んでいたものだけど、このところしばらく読んでいなかったなぁ。

この本は、膨大な創作メモをピックアップし、それに著者自身が注釈を加えたもの。

すでに作品となったメモだけでなく、作品化していないメモも公開されていて、「このままでもショートショートになっちゃうんじゃないの?」と思えるようなものもたくさん。でも、著者自身の判断基準があるんでしょうね。作品として発表していないということは。

星新一といえば、具体的な固有名詞も出てこないし(「エヌ氏」「エフ氏」がよく登場)、地域や時代、社会環境に関係なく読める。だからこそ、何十年前のショートショートでも、つい最近書かれたもののように、全然古びていない。

1970年発表の『声の網』は、現在のコンピューター管理下におけるインターネット社会を予見しているかのよう。カードローンの即日振込みが可能になったのも、そのおかげだし。

『できそこない博物館』では、「SF的なことが現実になり、ニュースになると、以前に書いておいたメモが作品化しにくくなった。」と書いている。そこかな、星さんの判断基準は。